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PSN方式SSB変調回路

  今回は歪の少ないSSB変調を実現するため、PSN方式SSB回路の実験を行いました。

動作原理

  詳しくはこちらに説明がなされていますのでご参照ください。
概要図は図の通りで、AFとRFの直交信号をそれぞれ生成し((1)及び(2))、それぞれ乗算を行い(3)、それら出力の加算を行う(4)ことで片側波帯のみの変調信号を取り出します。現実に十分な不要波帯抑圧を実現するためには、対称性の良い直交信号の生成と、対称な乗算、加算回路の構成が必要です。今回、主な構成要素である(1)~(4)は次の通りにしました。
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構成

(1)AF PSN信号生成

  STM32F446REマイコンボードに実装したDSPによるFIRフィルタを用いて直交信号の生成を行います。プログラムファイルはこちらのページからダウンロードできます。詳しくはこちらをご覧ください。

(2)RF PFN信号生成

  所望周波数の2倍周波数を分周することで、RF直交信号を生成します。回路図は以下の通りです。入力信号はSi5351Aから直接供給しました。 入力周波数がロジックICの上限周波数程度を超えると直交性が乱れ適切な不要帯抑圧を得られなくなります。入力周波数は所望信号の2倍なので、HFハイバンド等で使用する際は比較的高速動作の素子を選択する必要があります。また、他方のD-FFでクロック抜けが生じると位相関係が反転してしまうため、検出-リセット回路の追加を検討中です。

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(3)ミキサ

  今回はフィルタ無しで構成するために、十分な搬送波リーク特性が得られるNJM1496Dを用いました。搬送波のゼロ点は可変抵抗で調整します。電源電圧の変動に敏感なため、電源電圧は安定化させてたものを使用するのが望ましいと思われます。回路図とその特性は以下の通りです。搬送波のリークが非常に小さく、良好な変換特性が得られています。

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(4)電力合成回路

  FB101#43を用いた簡易的なウィルキンソン合成回路を用いました。

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  これらの構成要素を使用し、次の回路図の通り構成しました。
今回は秋月電子で購入可能な部品で構成しましたが、直交変調用のICも存在しているのでいずれは使用してみたいと思います。
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動作確認

  今回は以上の構成要素を繋ぎ合わせて実験を行いました。配線などが煩雑となってしまいましたが、十分な特性を持つSSB変調が得られました。
それぞれ、7MHz、28MHzの出力を示します。入力信号レベルにも依存しますが、尖頭電力動作時には不要波帯-50dB未満を満たし、十分な特性が得られています。従来のフィルタ方式と変調を聞き比べてみると、素直で元の信号に近い良好な変調が実現していることも確認できます。
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